うなぎの卸しが自ら開業、ありのままにこだわるうなぎ店へ
JR山手線田町駅の南口に2020年秋に完成した複合ビル
田町ステーションタワー内の飲食街に出店
和風モダンを基調としたデザインで、椅子席にソファー席
カウンターに個室と様々なシチュエーションで利用可能
炭火を使って地焼きしたうなぎは、蒲焼きの断面を見ても
表面はパリッとしており、焼き上がりは見事な美しさである
タレはテーブルにセッティングされておりお客さんのお好みに合わせられるように
店側の提供時にはやや少なめにかけるようにしている
うなぎの美味しさを感じてもらえる「白焼き」が自慢の料理
単品でもご飯や汁物とセットになった定食としても食べられる

東京 田町『うなぎ四代目菊川』

<ありのままを見せる心意気>

歴史の流れを遡ると、蒲焼きが食べられる前まで、鰻は包丁でさばかずに、姿のまま長い串に刺して焼いていた。いつの頃からか包丁で開いて骨を取り、焼くようになったが、器に盛り付ける時には二枚か三枚に切るのが丼でも重箱でも定番となっていた。

鰻を切って提供すると、それを食べるお客様から「1匹分の鰻を食べていないのではないか」という疑問の声を聞いたことから、『うなぎ四代目菊川』を始めるにあたって、切り身にせず1匹のありのままの姿でお客様に提供することが、鰻を食べているという実感を味わえて貰えるとオーナーは考えた。
ただし、1匹そのままを器に盛り付けるには、市販の器ではどうしても巨大な丼を用意するしか無いため、丸々1匹のうなぎが綺麗に収まる器を特注することにしたという。木工職人に依頼して、木製の器を作ってもらい、1匹のうなぎがスッキリと収まるような横長の容器が出来た。

しかし、実際に使ってみると米粒が隅に挟まって取りにくく、保温性も低かったことから、信楽焼の窯元に依頼して陶器製での器作りに挑戦した。陶器製で保温性があり、重すぎず、蒲焼きを引き立てるような器を目指して試行錯誤を繰り返すこと約半年、ようやく満足のいく器が完成したのが2020年春。器のフチに厚みがあり、全体の色合いは淡黄色から褐色が混じり、スカーレット(火色)にも見える信楽焼特有の深みと渋みがあって蒲焼きの色を引き立てている。保温性が高くご飯も冷めにくい、うな丼には理想的とも言える器に仕上がった。

これまで東海地方を中心に店舗展開していた『うなぎ四代目菊川』が東日本の初出店として、2020年9月1日に東京・田町にムスブ田町店をオープンさせた。ムスブ田町店では名物となっている「蒲焼き一本重」では、リニューアルされた信楽焼の専用容器を使っている。写真には写っていないが、テーブルに運ばれている時には木製の蓋が付けられ、これは最初の容器作りで活躍してくれた木工職人が信楽焼容器に合わせて製作した特注蓋で、容器の保温性を更に高めている。

1匹ありのままの姿のうなぎが食べられる「蒲焼き一本重」
信楽焼の特注器には、丸々1匹のうなぎが綺麗に収まる

<うなぎ卸問屋が提供する、うなぎへのこだわり>

『うなぎ四代目菊川』を経営するのは90年続くうなぎ卸問屋であり、問屋だからこそ出来る仕入れと、仕入れた後のうなぎの目利きによって、店舗には厳選されたうなぎを提供出来ることから、調理や焼き、タレにも細心のこだわりをもって、うなぎの良さに合わせた上質さを追求している。

調理や焼きに対して他店に負けない自信があることで、店としての姿勢を包み隠さずお客様に見てもらうことが一番の信用と考え、全ての店舗で客席からは横幅3mほどもあるガラス窓となっており、ひと目で厨房が見られるように設計されている。

焼き場だけで無く厨房までもが見渡せるライブキッチンであり、ムスブ田町店でもカウンター席の目の前でガラス越しに焼き場が向き合っており、厨房奥までが見渡せる。飲食店にとって客席からリアルタイムで厨房を見せるというのは覚悟のいることであるが、全ての店舗でそれを実践しているのは、店側に食材や調理工程に対しての衛生面で絶対の自信があるから。タレも愛知県三河のたまり醤油に本みりんと伝統の調味料を使い、近年人気となっている名古屋系うな丼の王道を歩んでいる。厨房をガラス張りにして見せるという店側のその心意気は味の分かる方なら、間違いなく食べることで他店との明らかな違いを理解出来るだろう。

メニューを見ると「蒲焼き一本重」に「一本ひつまぶし」に目が行きがちであるが、自慢の料理はうなぎの白焼きであり、白焼きを白飯とセットにした斬新な定食もあり、肝やヒレなどの部位も料理として提供していて、うなぎ料理が食べ尽くせるコース料理も用意している。うなぎそのものが良いために出来る、蒲焼き以外のうなぎの楽しみ方を上手にメニュー化している。

カウンター席の正面に厨房の焼き場が直接見える醍醐味
炭火での焼き上がりをリアルタイムに感じられる

<しつらえにも本物を追求し、名古屋から世界へ>

店内に入ると、スッキリとした和風モダンな内装に目がいくかもしれない。それら以外にも従業員の服装やしつらえも和テイストに揃えられ、料理だけでない内装やしつらえへなど本物の和を揃えている。

カウンター席からソファー席、個室も可変式で広さが変わり、一人でも複数人でも着席でき、家族連れでも接待でも使える。ビルの入口から段差はなく、地下の駐車場からもエレベーターを使えば、車椅子でも入店できるバリアフリーにも対応しているのはこの店のメリットであろう。

今後も東京都内での出店予定があるそうだが、目指すは世界進出で、既にシンガポールには出店しており、今後は東アジアに出店計画があるという。うなぎが和食であり、日本の伝統食であることを食事だけで無く、器や内装まで自然に感じさせてくれる演出と、衛生面や美味しさをガラス越しに見せるライブキッチンは、この店が世界基準の鰻レストランになっていく可能性を大いに示しているように思えてならない。

厨房では広い焼き場に炭火を入れて高温で焼き上げている
高温で焼き上げると白焼きだと、うなぎ本来の美味しさが分かる

[2020年9月訪問、文/中西 純一、写真/佐藤 兼永]

店舗情報

  • 基本情報
  • 営業時間
  • 地図
  • その他

住所:東京都港区芝浦三丁目118-2 msb Tamachi田町ステーションタワーN1F
電話:(03)6435-1128
席数:47席(カウンター席、テーブル席、ソファー席、個室あり)
メニュー:英語メニューあり

営業時間:
<ランチタイム>
月曜〜日曜/11:00〜15:00(ラストオーダー 14:00)
<ディナータイム>
月曜〜日曜/17:00〜22:00(ラストオーダー 21:00)
<定休日>
なし

開店:2020年9月1日
運営母体: 株式会社パッションギークス 
自社HP:https://yondaimekikukawa.com
Facebook:https://www.facebook.com/うなぎ四代目菊川ムスブ田町店-100482151765789/
Instagram:https://www.instagram.com/yondaimekikukawa_msb_tamachi/
デリバリー:Uber Eats等
テイクアウト:一本うな重弁当、うな重などテイクアウト可能

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