中華やイタリアンの経験をもとに、鰻業態へ新風を吹き込む
伝統と革新を融合させ、顧客目線の心遣いも
特上鰻重は国産養殖鰻を一本半使用しており、ボリューム感満点
鰻のサイズも通常の店よりも大きめのサイズで肉厚
ランチタイムで提供の鰻丼にはお吸い物と漬物もセット
ネギと海苔の香りが引き立ち、蒲焼きを引き立てている
鰻丼や鰻重ではタレはかけ過ぎないレベルにしている
丼や重箱物には別容器でタレを沿えており、自分でタレをかけられる
薄く切った鰻の身を頂く「うなぎのしゃぶしゃぶ」、野菜も一緒に食べられる健康メニュー
しゃぶしゃぶの後に、締めのご飯に鰻重を注文する方が多いとか

東京 赤坂『にょろ助』

伝統への回帰

歴史の流れを遡ると、蒲焼きが食べられる前まで、鰻は包丁でさばかずに、2つか3つにブツ切りにして、アユを焼くように長い串を胴体に突き刺して焼き、味噌などを付けて食べていたらしい。伝統的な焼き方を今実践するには良い炭を使って、安定した高温にしたまま遠火で炙りながら、焼きすぎないように職人さんがつきっきりで焼き場で鰻を見ていないと出来ないシロモノ。
手間暇掛かる昔ながらの鰻の焼き方を復活させたのが、赤坂にある『にょろ助』である。

古い伝統を新たに再開するには、現代では様々なコトやモノを追求しないといけない。これを“こだわり”と称する人もいるだろうが、食材である鰻から、焼き、調味料、器にまで独自のモノを追い求めているのは、『にょろ助』は玄関先の佇まいからも既存の鰻店と異なる世界観がうかがい知れる。カッコ良く言いすぎたかも知れないが、実際には店のHPを見れば、掲載されているメニューや写真で、従来の鰻店とは明らかに別のアプローチで顧客を喜ばせようとしているのがよく分かる。

「見事な鰻の一本焼き。柔らかな火加減で備長炭を使ってゆっくりと焼き上げる」

重箱から特注して新しいメニューを開発

店を運営しているのは中華の『紅虎餃子房』や純和風旅館『柚子屋旅館』など様々な業態の飲食店をグループで全国に380店余りを展開している際コーポレション株式会社で、同社初の鰻店として2016年に『瓢六亭』としてオープンし、2020年夏に『にょろ助』と店名をリニューアルした。
上述の鰻の「昔の一本焼」からして個性的であるが、蒲焼きをご飯に乗せて重箱ごと蒸し器にかける「せいろ蒸しうな重」は、重箱から湯気が吹き出しながら食べられる贅沢な嗜好である。ちなみにせいろ蒸し用の重箱は、蒸気が抜けるように底板はなく、重箱専門の職人さんに特注して制作したという、こだわりよう。
温かいご飯と食べるという点ではご飯を土鍋で炊いて蒲焼きを入れた「鰻土鍋ごはん」も秀逸な食べ方であろう。土鍋の蓋が開いた瞬間の蒲焼きの香りがあたりに漂うのが、料理名を聞いただけで想像できる。
鰻重などに添えられている、オリジナル調味料「山椒味噌」は、この店では試して見るべき薬味である。蒲焼きはどうしても単調な味付けになりがちで、粉山椒を振り掛けるのは美味しく食べ続ける方法の一つで、ひつまぶしのように味わいに変化を持たせたりするのは蒲焼きでは王道の食べ方でもある。『にょろ助』では、国産の山椒を青い状態で採り、人手で磨りつぶして作っているという「山椒味噌」は、粉とは違い、山椒の香りと痺れがゆっくりゆっくりと訪れ、蒲焼きの甘辛さを別の味覚にジンワリと引き上げてくれる薬味なのだ。蒲焼きだけでなく、白焼きにも串物にも合うだろうし、お酒もすすむ。

土鍋で炊き上げるご飯に、蒲焼きが満載の「鰻土鍋ご飯」

食べる人の嗜好に合わせた心配り

美味しい鰻を、美味しく食べる手法として『にょろ助』では「鰻鍋」に「鰻しゃぶしゃぶ」も用意してある。活饅を仕入れて、店内でさばいているので、鰻の肝、レバーなどの串も豊富にあり、お酒の種類も多様で、日本酒なら二十種類以上あり、ワインも取りそろえている。

お酒のつまみになるような料理も各種あり、居酒屋的な使い方も出れば、コース料理として色々な鰻料理を味わい、最後に鰻重や土鍋ごはんで締めるという選択も出来る。従来型の鰻店にはなかった様々な調理方法と味付け、お酒の種類と食べ方の選択の多さで言えば、伝統と革新が同居している“鰻の玉手箱”のようなシーフード・レストランと言えるだろう。中華やイタリアンなど他の業態での経験と実績が、オリジナルの器や薬味を生み出し、カウンター席からテーブル席に座敷席と顧客が飲食店に求める要素を鰻店にもそつなく生かしていて、家族でも接待でも一人でも暖簾をくぐりたくなる店となっている。

[訪問:2020年5月、文/中西 純一、写真/佐藤 兼永]

店舗情報

  • 基本情報
  • 営業時間
  • 地図
  • その他

住所:東京都港区赤坂3−16−8 東海アネックスビル1F
電話:(03)5545-6314
席数:46席(カウンター席、テーブル席、座敷席、個室あり)
メニュー:英語メニューあり

<ランチタイム>
月曜〜土曜祝日/11:30〜15:00(ラストオーダー 14:00)
<ディナータイム>
月曜〜金曜/17:30〜23:00(ラストオーダー 22:00)
土曜と祝日/17:30〜22:00(ラストオーダー 21:00)
<定休日>
日曜日 ※シーズン・天候等により変更する場合があります。

開店:2016年
運営母体: 際コーポレション株式会社
自社HP: https://kiwa-group.co.jp/nyorosuke_akasaka/
Facebook:https://www.facebook.com/nyorosuke.akasaka
デリバリー:Uber Eats、menu、等
テイクアウト:鰻弁当、鰻重などはテイクアウト可能

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