うな丼で「安い、早い、旨い」を目指し、多店舗展開中
テイクアウトやデリバリーも好調で、外国人観光客が行列をする人気店
丼物以外にもこの「うまき」や肝串などのサイドメニューも豊富
蒲焼きもおつまみとして注文可能で、夜は居酒屋的な利用者も多いとか
税込み550円のうな丼! 鰻は少し焼き目がつく程度の焼き具合にしているという
この店で一番人気は、実は鰻が2枚のった鰻丼ダブルで、鰻丼は二番人気とか。
うな丼の表面にはタレが満遍なくかけてあるが、多すぎないようにしている
タレはテーブルにも山椒などと一緒に置いてあり、追加でかけることが出来る
桶から鰻がはみ出し、インスタ映えする「ビックリ重」
うな丼よりも鰻の量は約4.5倍、ご飯は倍のボリューム鰻重

東京 新橋『名代 宇奈とと』

鰻をスマートに提供する新しい仕組み

「安い、早い、旨い」をキャッチフレーズにするどんぶり物と聞いたら、日本人なら誰でも牛丼チェーン店を思い出すだろう。しかし、このコンセプトをうな丼で掲げている専門チェーンがあることをご存知だろうか。東京都内に十店舗、大阪市内にも四店舗を展開する『名代 宇奈とと』である。

ここ数年は鰻の価格が高騰し、鰻専門店ではうな丼の値段が高くなったという印象を持つ方も多いだろうが、『名代 宇奈とと』のうな丼は、なんと550円(税込み)で食べられる! 正真正銘の“安さ”である。この価格は、約20年前の創業から物価上昇や消費税の値上がりがありながらも、企業努力を重ねることで500円台をキープしているという。
“早い”に関しても『名代 宇奈とと』では、注文を受けてから5分以内にうな丼を提供出来るようにしているという。近年は大手牛丼チェーンでも毎年土用の丑の日前後は期間限定でうな丼をメニューに取り入れており、同じように“早い”提供をしてくれる。しかし鰻専門チェーンの最大の特徴は、鰻の蒲焼きを店内で炭火を使って焼いてから提供してくれる点である。半加工状態で仕入れた蒲焼きを、食べる直前に焼くことで鰻のふんわりした食感が生まれ、ご飯との相性も良くなる。また、少し焦げるくらいの焼きが入ることでうま味が増すと言われており、これが“旨い”の秘訣であり、大手牛丼チェーンでは到底真似の出来ない『名代 宇奈とと』独自の「安い、早い、旨い」を実現する仕組みである。
大手牛丼チェーンは2020年夏ではうな丼一杯で、800円前後の価格帯での提供なので、うな丼に関しては「安い、早い、旨い」のどの要素も客観的に見ても完全に『名代 宇奈とと』に軍配が上がる。

安い、早い、旨いを実現させた、アルバイトでも美味しく鰻を焼ける両面金網

鰻のうま味で外国人観光客にも人気

老舗鰻店では、注文してから1時間以上待ってうな丼を食べるのが儀礼のようになっている店もあるなか、価格にスピード、美味しさを追求するという点において、『名代 宇奈とと』は、21世紀の鰻店が目指す一つの指針を示しているのではないだろうか。
その証拠に、この「安い、早い、旨い」という仕組みを確立した『名代 宇奈とと』は、国内だけで無く現在では香港・タイ・ベトナムと、難しいと言われていた鰻店の海外展開を着実に広げている。また、浅草など外国人観光客が多く訪れる観光地に近い店舗では、外国人客の来店が多く、特に中華圏の観光客はどうしても食べたいと、連日長蛇の行列になっていたという(新型コロナ前)。中国ではうな丼は人気が無いというのが通説であったが、『名代 宇奈とと』の仕組みであれば、新しい需要を喚起できるのかも知れない。

新型コロナのダメージを受けないテイクアウトの定着

さらに『名代 宇奈とと』の仕組みからは日本の飲食店の未来を示唆する現象が聞けた。2020年春から日本でも新型コロナの影響で飲食店は壊滅的とも言えるダメージを受け、当分その余波は続くだろうと予想されているのはご存知の通り。店舗での営業は出来ない中、高級店でもテイクアウトやデリバリーをはじめだしたが、『名代 宇奈とと』では早くからテイクアウトやデリバリーに対応していた。
事業部長の森下政和さんによると「郊外の店では、新型コロナによる自粛要請期間中に店内飲食よりテイクアウトとデリバリーの比率が大きく上がり、月間売上で昨年同月比を越える店がありました。また都心の店については、テイクアウトとデリバリーのおかげで予想したよりも売上の下げ幅は少なかったです」と語ってくれた。デリバリーではピザやハンバーガーのチェーン店は、売上げが増加したが、和食店で売上げを確保出来たというのは、「安い、早い、旨い」という仕組み、プラス炭火で焼いている本格スタイルがテイクアウトやデリバリーの分野でも、消費者に支持されたと言えるだろう。

鰻とうな丼の世界展開が見えてきた

店名の「名代」は“みょうだい”でも“なしろ”でもなく、正式な呼び方は“なだい”であり、意味としては広辞苑によると「名高いこと。著名。有名。」とある。「宇奈とと」の“うな”は昔の鰻の呼び名であり、「とと」は魚を表しており、漢字で書くと「魚魚」となる。つまり、魚類である鰻で有名な店という意味を持つ店名だ。
『名代 宇奈とと』は、世界中に展開していける可能性を秘めた店であり、将来世界のどこかの街角でこの店の看板を見た時に、外国の友人に店名の意味と同時に「安い、早い、旨い」の仕組みを、魚文化の日本人として是非うんちくを語ってもらいたい。そう、私は「なだい」と読めなかったので、自戒を込めて、鰻ファン・丼ラバーの皆様へのお願いです。        

[訪問:2020年6月、文/中西 純一、写真/佐藤 兼永]

店舗情報

  • 基本情報
  • 営業時間
  • 地図
  • その他

住所:東京都港区新橋3−16−19
電話:(03)3433-6969
席数:17席(カウンター席のみ)
メニュー:英語メニューあり

月曜〜金曜/11:00〜22:30
<定休日> 土日祝日   ※土曜日は11:00〜21:00はテイクアウトとデリバリーは営業

開店:2003年
運営母体: G-FACTORY株式会社
自社HP:http://www.unatoto.com
Instagram:https://www.instagram.com/nadai_unatoto/
デリバリー:Uber Eats、出前館、fineDine等
テイクアウト:うな丼などのどんぶり物メニューは、テイクアウト可能

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